皮膚炎・アトピー・シミ・あざなどお肌のトラブルはありませんか。熊本市清水、長野皮膚科・形成外科医院。

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歳時記・よもやま話

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夏の病気 虫による皮膚炎

夏は虫がたくさん出てくるシーズンです、そのいくつかお見せします。

【昆虫、蟻などのによる虫刺症】

手首の部分を虫に刺されたもの。なんの虫かは特定できないが、手首から前腕部にかけて発赤と腫脹。一部では水疱の形成がみられる。


【蜂刺傷】

蜂による刺傷。足長蜂によることが多い。蜂刺傷はショックになり、時に死亡するような重篤なものもあるので要注意。副腎皮質ホルモンの内服、外用などの処置が必要。


【ムカデに刺されたもの】

ムカデに刺されたもの。刺された部分の発赤と腫脹。強い疼痛がみられる。副腎皮質ホルモンの点滴、内服などでの投与と局所での使用が必要。


【毛虫による皮膚炎】

毛虫による皮膚炎。密集した丘疹、発赤が特徴。チャドクガ。イラガなどの毛虫によることが多い。毛虫が自分の危険を察して、自己防衛のために毛についた毒針を周囲に飛ばしそれが皮膚に刺さることによって起こる。毒蛾皮膚炎も同じような感じの発疹を生じる。


【線状皮膚炎】

アオバアリガタハネカクシなどの毒素の強い昆虫が皮膚を這ったり、触ったりしたために起こる。強い皮膚炎とかゆみ痛みを伴う。虫の虫体の毒液の付着による。毒液がついたままの形に線状に皮膚炎を起こす。

アオバアリガタハネカクシとアオカミキリモドキ。この虫などがこの皮膚炎を起こす代表。この虫体液の付着により、強い皮膚炎を起こすので要注意。

(写真は田辺製薬作成の患者さん説明用のパンフレットより)

【くらげ皮膚炎】

虫による皮膚炎ではないが、夏に多い、くらげによるもの。くらげの足の毒糸に触れることによる。強い激痛としびれ感。水疱や発赤などを生じる。アンドンクラゲやカツオノエボシなどによることが多い。
写真は背部の線状の発赤と水疱。


紫外線と日焼けの話

夏は日差しが強くなります。海や山に出かけると楽しいですが、油断して思いっきり日焼けをすると次の日にはヒリヒリして、水ぶくれができて、その後何年かするとシミやシワに、果ては皮膚癌にと・・・。日焼けの原因は紫外線です。紫外線に注意して夏をエンジョイしましょう。

太陽から降り注ぐ光線には以下のようなものが有ります。上に行くほど波長が長く、下に行くほど波長が短くなります。紫外線の種類によって皮膚には色素沈着から熱傷に近いような症状を起こします。

赤外線
可視光線
紫外線(UV)
長波紫外線(UVA)→色素沈着(サンタン)
中波紫外線(UVB)→ヒリヒリする日焼けの炎症反応(サンバーン)
短波紫外線(UVC)→動植物の生態系の破壊、皮膚癌

(オゾン層の破壊と関係)

このうちUVCは地球を取り巻くオゾン層によって吸収されるので現在のところ地表には到達していません。しかし、今後オゾン層の破壊が進むとUVB、UVCなどの有害な紫外線が降り注ぐことに成ります。オゾンが1%増えると紫外線が2%増加し、皮膚癌が3%増加すると言われています。

紫外線の効用は何でしょうか。日光にはビタミンDを合成しくる病と言う病気を予防する作用があります。しかし、北欧や北極圏の周囲は別として日本などでは通常の生活であたる日光の量で十分です。では紫外線によって受ける害は何でしょうか。

急性期:皮膚の炎症、色素沈着、熱傷

慢性期:色素沈着、光老化、皮膚癌の発生

などがあります。急性期はやけど様の皮膚の炎症や、色素沈着ですが、それを繰り返すと、光老化をいわれる、シミやシワの増加、また、DNAの損傷による皮膚癌の発生などの原因となります。

では、紫外線を防御するにはどうしたら良いでしょうか。まずは紫外線が最も多い正午をはさんだ前後の4時間くらいの時間の外出を控えることです。次には物理的な遮断として、帽子、日傘、衣類の色や布地などで予防することです。最後の手段は日焼け止めクリームの使用です。UVBの防止効果を示すSPF値とUVAを防止する目安のPA値を目安にして、以下の表を参考にされると良いと思います。また、この日焼け止めクリームでかぶれるようなことも有りますので、使用前に前もって腕などにつけてみて様子を見て使用したほうが良いでしょう。色が黒く焼けているのが健康的なイメージだったのはもう昔の話です。日焼けサロンでガングロに焼くなんてのはもってのほかです。

TKU(熊本の放送局)の医療あれこれ(平成12年7月19日放送)の原稿より

手あれと予防

手あれと俗に称される物は、皮膚科学的には手湿疹(主婦湿疹)と病名をつけます。俗に洗剤かぶれ,などと言われるときも有ります。手の湿疹は皮膚の表面に付着した物質が原因となっておこるすべての皮膚炎を包括し、手に生じた接触皮膚炎(かぶれ)をさします。何らかの物質による,かゆみを伴うアレルギー性タイプと、皮膚が乾燥し、亀裂(ひびわれ)による痛みを生ずる非アレルギー性の皮膚の乾燥化から起こるタイプとがありますが、実際には両方がまじった混合型が多いのです。 非アレルギー性タイプは種々の環境因子の影響をうけ、化学物質では界面活性剤(石けん、シャンプー、洗剤など)や有機溶媒との接触が最大の原因となります。それらは皮膚の表面の油の成分(皮脂)を分解して皮膚の表面のバリアの部分を取り去ってしまう事が一番の原因です。 アレルギー性タイプは職業と関係することか多く、家庭ではゴム手袋や金属類および塗り薬との接触が原因になります。

【手あれ】手の乾燥化と腫脹、亀裂を生じて痛みを伴う。女性。仕事で洗い物が多く、手袋は使用していないとの事。

手は色々な刺激物質に触れますが、健康な皮膚は外界刺激に対してある程度の防禦能をもっています。皮脂膜と角層がその役割を果しているのです。それがバリアの機能を果たし、外的な悪化要因が侵入するのを防いでいます。しかし、石けん、シャンプーおよび洗剤の使用は皮脂膜を流してしまいます。そして、その再生には6時間を要します。皮脂腺は通常は毛根についた形で存在しますが、手のひらには毛がありませんから、手のひらには皮脂腺がありません。手のひらは角化細胞がつくる皮脂だけに依存しています。したがって,皮脂膜再生には長時間を要します。 皮脂膜の破壊は角層の障害につながり、角層は水分を大気中に奪われて、カサカサになり、亀裂を生ずるに至ります。特に湿度の低い冬は症状が悪化し易いのです。 非アレルギー性の手の湿疹では,皮膚の防禦能は完全に失われ,皮膚についた物質が大量に経皮吸収されるようになり、今まで何ともなかった物質にも刺激反応をおこし、さらにはアレルギー反応をおこすに至ります。

水仕事や入浴の後は水気をよくふき取ってから,かならずワセリンやハンドクり一ムを塗って、油分を補い、,皮脂膜の回復を待ちましょう。 洗剤は皮脂を分解して取り去ってしまうので、なるべく洗剤に直接触れぬように、手袋を使用しましょう。また、冬の季節は食器洗いなどにもお湯を使いますが、お湯は普通の水に比べると皮脂を取る作用もつよくなります。薄い木綿の手袋をし、その上からビニール手袋をはめましょう。手袋の二重着用は手の湿疹に合併し易いアレルギー反応や皮膚カンジダ症を予防します。ゴムはアレルギー反応をおこし易いので、ビニール手袋の方が安全です。

冬に多い皮膚病

(どんな皮膚病が増えるの)
冬は、一年の中で最も低温の季節です。また、湿度に関しては太平洋側と日本海側で事情が違います。太平洋側では、冬は低く、夏は高くなるのですが、日本海側では夏と冬の2回、湿度が極大になるのです。

温度や湿度の影響で
人の皮フは、表皮、真皮、皮下脂肪組織から構成され、保護作用、体温調節作用、分泌排泄作用、感覚作用などを営んでいますが、これらは温度や湿度によって影響を受けます。そのため、冬の温度や湿度の変化によって、多くなる皮フ病があるのです。 今回はその中から、凍瘡(しもやけ)、低温熱傷、皮脂欠乏性湿疹、進行性指掌角皮症(手あれ)の4つを取り上げました。次のページから詳しい症状と治療法、予防法をご紹介します。

凍瘡(しもやけ)

「しもやけ」と呼ばれる凍瘡(とうそう)は、5℃前後の寒さにさらされたときに生じる、皮フの局所障害です。冬の初めや終わり頃にみられ、遺伝的に、末端部の血液循環障害を起こしやすい素質をもった入がかかります。 一般に、幼児期から学童期は、手や足に汗をかいて冷えやすいため、しもやけになる子が多いのですが、高齢の女性にも生じます。


症状は?

子供に多くみられるのは、樽柿(たるがき)型凍瘡です。びまん性のうっ血性紅斑を生じ、中央は暗赤色、まわりは鮮やかな赤色になります。年長者に多いのは、円形の赤い腫脹を生じる多形紅斑型凍瘡です。症状が進むと水泡や潰瘍ができ、温まると痒みが増します。

治療法は?

ビタミンE軟膏を塗り、症状が強い場合は副腎皮質ホルモンも併用します。水疱や潰瘍があるときは、抗生物質軟膏を外用します。抗ヒスタミン剤やビタミンE剤の内服も有効です。

予防するには?

冬になる前から、防寒を心がけ、マッサージをしてください。また、湿った手足は冷えやすいので、湿りをよくふきとり、乾いた手袋や靴下にすばやく取り替えるようにしましょう。

低温熱傷

通常では熱傷しないような低温に長時間接することによって生じるやけどです。アンカや湯たんぽなどは70℃ほどですが、長時間触れていると、皮下組織だけでなく、筋肉、腱、骨膜まで破壊してしまいます。
一般に女性は、高齢者だけではなく、20代、30代の若い人でも冬になると手足が冷えるので、アンカや湯たんぼを使用して低温熱傷を生じることが多いようです。
特に発生しやすいのは、足のスネの外側です。この部位は身体の中で最も血行が悪く知覚が鈍いため、痛みを感じにくく、低温熱傷になるまで気づかないのです。アンカや湯たんぼを使うとき、厚手のタオルに包んでいても、この部分に接触させて朝まで熟睡してしまうと、低温熱傷を生じることがあります。

症状は?

初めは小さな発赤と水泡ですが、徐々に赤い範囲が広がり、卵大にまでなります。数日もすると、暗赤色三黒褐色に変色し、黒いかさぶたができます。かさぶたの下には潰瘍があります。

治療法は?

一般に、抗生物質軟膏を外用しますが、皮フの深い組織まで破壊されているので、治るまでに2〜3ヵ月かかります。早く治したい場合は、植皮手術が行われています。

予防するには?

アンカや湯たんぽは、皮フに直接触れないように離して使いましょう。また、就寝前に寝具を暖めるのに使い、寝るときは布団から出してしまうほうがよいでしょう。

皮脂欠乏性湿疹

ヒフが乾燥した状態を、皮脂欠乏症または乾皮症といい、高齢者の皮フによく起こります。この状態に湿疹・皮フ炎が生じると、皮脂欠乏性湿疹となります。
年をとると皮脂が減少するため、皮フの水分保持機能が減退して乾燥状態になります。これに、痒みのためにかいたり、入浴で洗いすぎたりといった刺激が加わると、悪化して湿疹になってしまうのです。特に高齢者の足のスネの部分に生じますが、手足や体にもできます。
空気が乾燥しはじめる秋からみられ、冬に増加しますが、初夏になると自然に治っていく人が多いようです。また、女性より男性に多くみられます。

症状は?

皮フは枇糠状-小葉状の鱗屑を伴った乾燥肌(皮脂欠乏症)となり、一面に小波状〜網目状の亀裂、紅斑(皮脂欠乏性湿疹)がみられます。

治療法は?

皮脂欠乏症には、尿素軟膏、ヘパリン類似物質含有軟膏などの保湿外用剤が使われます。白色ワセリンには保湿作用はありませんが、皮フの表面に膜を作って水分の蒸発を防ぐので、乾燥を妨げる効果があります。
皮脂欠乏性湿疹には、あまり強くない副腎皮質ホルモン軟膏を短期間使用し、炎症が治まったら保湿外用剤に切り替えます。

予防するには?

皮脂を取り除きすぎないことが重要です。お風呂の入りすぎや長風呂はよくありません。石鹸は泡をつけたタオルや手で軽くこするようにし、ナイロンタオルやたわしなどは使わないこと。また、部屋が乾燥すると、皮フの乾燥と痒みが強くなるので、加湿器を使って湿度を保ってください。皮フを刺激しないよう、肌着類は柔らかで吸湿性の高い木綿製を。痒みを軽くするために、睡眠や休養を充分にとり、アルコール、香辛料、熱い食べ物などは控えめに。

進行性指掌角皮症

手湿疹の乾燥型、いわゆる「手荒れ」のことです。年中みられますが、夏によくなり、冬に悪化する傾向があります。
水仕事の多い主婦、紙幣や包装紙などを頻繁に扱う職業の人などに多くみられます。これは洗剤や湯水、紙類による脱脂とスポンジやタワシ、紙などの物理的刺激が原因です。


症状は?

利き手の親指、人差し指、中指の指先から発生します。皮フが乾燥してカサカサになり、硬くなってひび割れたり、ツルツルになって指紋がなくなったりします。ひどくなると、他の指から掌、反対の手にまで広がります。

治療法は?

軽い症状のときは、白色ワセリンや保湿剤の尿素軟膏などを頻繁に塗ります。炎症が強いときは、副腎皮質ホルモンを使用します。

予防するには?

摩擦が最大の原因なので、木綿の手袋を用い、指先への刺激を少なくしてください。水仕事は、木綿の手袋の上にゴム手袋をし、直接洗剤などが触れないようにします。仕事の量を減らすことも考えてください。

(fncl皮膚の手帳より作成)

皮膚掻痒症

皮膚の水分と脂分の不足

人間の皮膚は非常にデリケートにできており、いろいろな内外の刺激に対し敏感に反応します。皮膚でかゆみを感じるところは、皮膚の知覚神経のうち、痛点と呼ばれる痛みを感じる末梢神経といわれています。この痛点に痛みを感じる刺激よりもさらに弱い刺激が加わるとかゆみとして感じます(最近の研究では厳密には痛みの神経とかゆみの神経は同じ物ではないとの報告も有りますが、両者は極めて似た関係である事は間違いないようです)。
 高齢になりますと、肝臓や腎臓などの内臓疾患や、癌など全身的にいろいろな病気にかかることが多くなります。このような病気のときにも全身がかゆくなり皮膚掻痒症となることもありますが、このときはもともとの病気を治さないと皮膚掻痒も治りません。しかし、皮膚科に皮膚掻痒症でこられる多くのかたがたは、諸検査でも、大した異常はないのに、我慢できないほどかゆみが強いというかたです。このような患者さんのお肌をみますと、多くは肌にうるおいがなく、カサカサし、引っかいたあとがたくさんみられます。このような方々のかゆみの原因は老人性乾皮症といって、お肌の水分と脂分が不足していることに原因があるのです。

もともと人間の皮膚の表面には脂肪膜と呼はれる脂質と水分から造られた薄い膜があって、外部からのいろいろな刺激に対し皮膚を保護しています。高齢になると皮膚の代謝も低下してきて、皮脂腺や表皮細胞からの脂質の分泌や、汗腺からの汗の分泌も脂肪膜の産生も減少し、カサカサした皮膚になってきます。 人間の肌はこの脂肪膜の働きが悪くなると、刺激に対し非常に敏感になり、通常ではかゆみの刺激としては感じられない非常に弱い刺激、例えば、肌着が皮膚に接触したぐらいの刺激でもかゆみとして感じるようになります。そこでかゆいために引っかき、皮膚は傷つけられ、さらにかゆみに対し敏感になっていくという悪循環を繰り返すことになります。ですので、この皮膚の乾燥化が皮膚掻痒症の一番の根源的な症状です。
 特に日本では、冬は低温・低湿の気候になるために、汗の分泌も非常に少なくなり、皮膚掻痒症も冬に悪化することが多くなります。

症状

皮膚掻痒症の特徴は、皮膚のカサつきと強いかゆみが主体で皮膚には症状が余り無いということが多いのですが、乾皮症にもとづく皮膚掻痒症の場合は、かゆみの強い部分の皮膚はカサカサに乾燥し、水分が無くなり、皮膚の表面に細かい鱗屑(※りんせつ:皮膚表面の角質細胞が病的にはがれ落ちるもの)が目立ちます。できやすい部位は、大腿から下腿と腰から側腹部などです。掻破により二次的に湿疹化を起こしてきます。

日常生活の注意

老人性皮膚掻痒症は肌がカサカサし、いろいろな刺激に対し敏感になって生じる病気ですから、日常生活の注意としては、肌の乾燥を防ぐことと、かゆみを起こすさまざまな刺激から身を守ることがじゅうようです。

気候と室内環境

日本の冬は、低温・低湿になります。元来高齢者の方は肌が乾燥化傾向がありますので、冬になりますと汗の分泌の減少ともあいまって、さらにカサカサと乾燥化が増してきます。昔はストーブや火鉢の上にはヤカンや水を入れた金だらいを置き、湿度を補っていましたが、最近の暖房器具はファンヒーターやエアコンによるものが多く、さらに室内での湿度は下がります。そこで冬のあいだはやはり加湿器を利用し、室内の湿度を高める必要があります。また室内の温度は低めにおさえておいたほうが安全です。
 また高齢者は、手足のひえを感じる方が多く、就寝時の保温のために、電気シーツ、電気毛布を使われるかたが多いのですが、これらの電気製品は肌の乾燥化をさらに助長しますので注意が必要です。

入浴

皮膚の乾燥化に一番関係が深いのが入浴です。日本人は清潔ずきといわれますが、入浴そのものは皮膚を清潔にする、気分のリフレッシュ、疲れを取るなどの効用は確かに多いのですが、石鹸を使用するのは皮膚の乾燥化という面からすると、石鹸の脱脂力のために皮膚の脂分を取り去る事になるので注意が必要です。
 昔の日本や、欧米人のように、まれにしか入浴する機会がないときでは、入浴時には、石鹸、または竹ベラを使い、こびりついたアカや脂を落す必要もありますが、今はほとんど毎日入浴しますので、石鹸の使用は汚れを取るだけの最低限度にして、腋の下や、外陰部、肛門周囲など、汗とアカのつきやすい部分を重点的に洗って、それ以外の乾燥する部分はなるべく少なくしてください。また、タオルも綿のなるべく刺激が少ないものにして、ナイロンタオルなどの使用は避けてください。また硫黄の入った入浴剤は皮膚の脂腺の分泌をおさえる作用があるため使わないほうが安全です。入浴後に乳液などで脂分を補う事も大事です。

衣服

皮膚掻痒症では、すこしの刺激でもかゆみの原因になるため、肌着は刺激の強いウール、ナイロンはさけ、木綿製の柔らかいものを着用します。縫目などが突出していると、この刺激でかゆみが生じることもあり、注意を要します。このような場合には肌着を裏返しに着るなどの工夫もいいと思います。

食事

一般的に、アルコール類、香辛料、刺激物やアクの強い食物は、かゆみを強くすることが多いのでなるべく少なくしましょう。

治療

治療の基本は皮膚の乾燥化を防ぐことです。そして、かゆみを抑え、掻破により湿疹化を起こしますので掻かないようにする事です。高齢者は、汗と皮脂の分泌が減少し、皮膚の表面にある脂肪膜が少なくなりかゆくなるわけですから、外部から水分と脂分を補う必要があります。そのために現在は、尿素軟膏という尿素を含有した軟膏を入浴後に全身にぬることやワセリンなどで脂分を補う事が広く行われています。尿素は水分と結合する力が非常に強いため、空気中の水蒸気を吸収し、これが尿素軟膏中の脂分と結合して、人工的な脂肪膜を皮膚の表面に作ります。
 しかし、キレツが強かったり、二次的に湿疹化しているときには、副腎皮質ホルモン含有軟膏を先に使うこともあります。全身のかゆみをおさえるためには、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤と呼ばれる薬剤の内服を併用します。それらは医薬品ですので病院でしか処方できませんので、皮膚の乾燥化が強く、掻痒が強い場合は皮膚科を受診ください。

染毛剤、ヘアカラーと皮膚炎

最近は以前の白髪を染めるための染毛剤の目的だけでなく、おしゃれとして染毛剤を使用される方が増えています。おしゃれを楽しむ事は、気分も変わり、日ごろの生活にもメリハリが出来、決して悪い事ではありません。しかし、染毛剤は化学薬品ですので、皮膚炎はアレルギーを起こす事もまれではありません。染毛剤、ヘアカラーの仕組みと注意を書いておきます。

染毛剤の歴史

街を歩いていると、髪のさまざまなオシャレに出会います。髪型もさることながら、金髪、白髪、赤、ピンク、グリーン、レインボーカラーと、その色の多様さには驚かされます。以前は、髪を染めるのは「白髪隠しの黒」と決まっていました。今では年輩の方でも、白髪に紫やブルーを入れるなど、洋服と同じようにファッションの一部として楽しんでいるようです。髪を染めることは、化粧と同様に昔から行われてきました。紀元前三千年の古代エジプトでは、ヘンナ(ツマクレナイノキの葉)を使って髪を染めていました。日本ではおしゃれ染めは大戦後からです。明治の中頃まではタンニン酸と鉄塩の混液を使って、御歯黒と同じように白髪染めが行われていましたが、明治三十年頃にハラフェニレンジアミンを用いた酸化染毛剤が開発されてからは、一般にこれが使用されるようになり、今日に至っています。さらに第二次大戦後、アメリカから入ってきたおしゃれ染めが、そのファッション性から使用層を拡げてきました。

染毛剤の種類

染毛剤は、その効果の持続性から、一次染毛剤、半永久染毛剤、永久染毛剤の三つに分けられ、それぞれ染毛する部位と仕組みが異なります。

染毛剤の作用

染毛剤が毛髪に触れると、次のような変化があります。
まず染毛剤の色素が毛髪の最外層の毛小皮に接触し、液剤(染毛剤)と固形面(毛小皮)とで、濡れ、吸着という界面現象が起こります。次いで、染毛剤は毛皮質、髄質へ浸透、拡散し、場合によっては重合という化学反応が起きます。

一時染毛剤の場合

一時染毛剤は、毛小皮表面に顔料または染料を固定することよって染毛します。スティック状、ジェル状、カラースプレー、カラームース等、いろいろなタイプがありますが、いずれもカーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ等の顔料を、高分子樹脂で接着、固定させる染毛です。一回の洗髪で落ちてしまいますが、使用法が簡単なことと、カブレにくいことで、若い世代に受け入れられています。

半永久染毛剤の場合

半永久染毛剤は、染料を毛小皮内および毛皮質内の一部にまで浸透させ、イオン結合によって沈着、染毛します。染料としては、国内では酸性染料を利用した酸性染毛料が主流です。一般にヘアマニキュアといわれていて、ジェルタイプ、泡状エアゾールタイプ、クリームタイプ等があります。主な成分としては、アゾ系の酸性染料、染料の毛髪内への浸透を促進する染色助剤、酸性染料の染色効果に必要な酸性ph条件をつくるph調整剤が配合されています。毛髪を傷めることはありませんが、染色の持続効果が一カ月程度と短く、染料が皮フに付くと落ちにくいという難点があります。

永久染毛剤の場合

一時染毛剤と半永久染毛剤には毛髪の脱色効果がなく、本来の髪色に新しい色を追加するという染色法です。永久染毛剤はこれとは異なり、毛髪のメラニンを分解しながら、新しい色で染色するというメカニズムです。低分子の酸化染料(第1剤)を毛髪内に浸透させ、同時に酸化剤(第2剤)を作用することによって酸化重合し、高分子体の色素を形成して毛皮質内に沈着させます。毛皮質内に生成した色素は高分子となっているため、毛髪内から外に出ることができず、2-3か月の持続効果があります。

主な成分として、第1剤には染料中間体のオルト、パラフェニレンジアミン、アルカリ剤としてアンモニアあるいはモノエタノールアミン等の有機アミンが使用され、第2剤には酸化剤として過酸化水素が使用されています。使用直前に1剤と2剤を混ぜ、混合液を毛髪に塗ってなじませたあとで放置します。その後、シャンプーで洗髪して、リンスやトリートメントで整えます。

持続効果は長いのですが、反面皮フヘの影響も多く、カブレを起こすことがあります。法的にも、使用前のパッチテストが義務づけられています。

酸化染料と色の関係

染料の色調は、酸化染料の種類によって異なります。
ハラフェニレンジアミン−暗褐色
オルトフェニレンジアミン−橙黄色
パラアミノフェノール−明るい黄褐色
オルトアミノフェノール−濃い黄色

さらにこれらの酸化染料を配合したり・レゾルシン等の修正剤を加えることによって、より多くの色を出すこともできます。

染毛剤の皮フへの影響

染毛剤による皮膚炎には一時的な皮膚の刺激と、何度も染毛を繰り返す事によって起こるアレルギー反応が有ります。
刺激を感じたら洗い流す
まず、一時的な皮膚の刺激ですが、化染毛剤の場合、染毛中に刺激やかゆみを感じることがあります。染毛剤に含まれるアルカリ剤や酸化剤の過酸化水素に起因することが多く、一過性の場合が多いようですが(一次刺激反応)、刺激感が強い時にはすぐ使用を中止して、十分に洗い流すことが必要です。

アレルギー反応が出る場合
これは何度も染毛を繰り返すことによって起こって来る事が多く、患者さんは今までは何とも無かったのに・・といってこられる事が多々有ります。
染毛後2〜3目してから強い痒みがおこり、頭皮や髪の生え際がジクジクとして、顔全体が腫れ、まぶたがふさがったようになる場合があります。これはアレルギー性接触皮フ炎です。酸化染料のハラフェニレンジアミンの酸化生成物によるアレルギーといわれますが、過酸化水素も含めた反応であるともいわれています。このような場合は早急な治療が必要ですので皮膚科の病院をすぐに受診してください。

注意すること

  1. 事前のパッチテストを忘れずに
  2. 酸化染毛剤を使用する場合は、事前にオープンバッチテストで陰性であることを確認し、また、染毛剤に接触するおそれのある皮フの防御をしなければなりません。
    もし皮フに異常が現れた場合は、すぐ使用を中止し、よく洗い流して、皮フ科医を受診してください。

  3. 皮フに付いたらこすらないで
  4. 半永久染毛剤の酸性染毛料は、永久染毛剤に比べて問題はあまりみられませんが、皮フに付くと落ちにくいため、強くこすりすぎて炎症を起こすことがあります。皮フに付いてしまったときには、軽く拭いたあと石けんで洗い流すか、専用のリムーバーで取ってください。

アレルギーとダニ退治

院長のコメント:最近はアレルギー性の疾患、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息などが増えています。その原因のかなりの部分にダニが関与しています。アレルギーの治療はダニ退治でもあります。いかにダニ退治のポイントを書きましたので参考にしてください。

【はじめに】

最近は子供のアレルギー性疾患が増加していますが、その原因の8〜9割は家の中にいるダニ(チリダニ)によるものです。 チリダニは体長1mm以下の非常に小さな生き物で、室温が25℃前後、湿度が755%前後のときに最も良く繁殖します。多くいる場所はカーペットや絨たんを敷いている部屋ですが、特に多くいるのが寝室やふとんの中です。寝ている間に、ダニの死骸や糞を吸い込むことによって、アレルギー疾患が起こってくるのです。患者さんの家で掃除機をかけると、ゴミの中に何千匹ものダニがいることがあります。長期にわたる試験の結果、ダニ数がlm2当たり100匹以下になると、喘息の発作はほとんどでなくなることがわかっています。アレルギーを起こすのはは生きているダニよりも、ダニの死骸や糞の方が強く、またこの方が細かいので呼吸器の奥の方まで吸いこまれやすいのです。したがってこれらも取り除き同時にダニ数をできるだけ減らすことが、アレルギー性疾患を起こさないことにつながります。以下に誰でも手軽に費用をかけずに実行できる家の中のダニを減らす方法をまとめましたのでお読みください

  1. できるだけ部屋の風通しを良くして湿気を逃がしましょう!
  2. ダニはヒトのフケ、アカなどをエサにして室温が25℃前後、湿度が75%前後のときに最も良く繁殖します。したがって、気密性が高く、冷暖房が普及して温度差の少ない、つまりヒトにとって快適な環境はダニにとっても絶好の環境となっているのです。部屋の風通しが悪いと、湿度の高い状態が維持されやすくなり、ダニが増える原因になります。できるだけ風通しを良くすることに努め、部屋の湿気を外に出しましょう。ただし、冬季においては夕方以降の風通しは控えましょう。逆に湿気を呼び込むことに有ります。

  3. 寝室は毎日、力一ペットの部屋は3日に1回、ていねいに掃除を!
  4. アレルギー疾患の多くは、寝ているときに寝室やふとんからダニを吸い込むことによって起こります。ですから、ダニだけでなくエサになるヒトのフケ、アカ、毛なども取り除くため、患者さんの使用している寝室はできるだけ毎日掃除機をかけることが大事です。寝室以外の部屋は無理のない程度に掃除機をかけて下さい。ただし、掃除機をかける時は、どの部屋も、特に力一ペットの部屋は3日に1回、1m2につき20秒以上の時間をかけて、ていねいに行うようにしましょう。

  5. 晴れた日はふとん干し、取り込んだら、掃除機を!
  6. 晴れた日はできるだけ毎日ふとん、毛布などの寝具類を、天日干しして下さい。日照時間内で夕方湿度が上がらないうちに取り入れましょう。寝具類を取り込む際、寝具類にたたきは必要ありません。たたいたまましまうと、ダニの死骸がふとん表面に浮くため、喘息患者さんはダニを吸うことになります。たたいたときは、必ず掃除機をかけて下さい。掃除機をかけないのでしたら、たたきは止めましょう。

  7. 寝具類は1週間に1回は時間をかけて掃除機かけを!
  8. 使用しているふとん、毛布などの寝具類は1週間に1回は、表と裏を1m2につき20秒以上の時間をかけて、じっくり掃除機をかけて下さい。使用するノズルは、普通の床用ノズルが使いにくけれぱ、寝具専用ノズルを使って下さい。寝具類は使用する人を特定するようにして下さい。また、春と秋の季節の変わり目に、押し入れから出したふとんには、高密度にダニが付着しています。ふとんを変えるときは、必ず天日干しをし、その後、ていねいに掃除機をかけることが大事です。掃除機の集塵袋は、集塵力を上げるためにできるだけ新しいものを使いましょう。

  9. 毛布は洗濯、天日干し、掃除機の3段構え!
  10. 押し入れから出して使い始める毛布には、ふとんと同じようにダニが高密度にみられます。まず、一度洗濯をし、天日干しをした後、掃除機をていねいにかけてから使うようにしましょう。また、衣類乾燥機はダニ駆除効果が100%近くありますので、天日干しの代わりに使われることをお勧めします。この場合も、毛布内に残ったダニの死骸や糞を掃除機で吸い取ることが大切です。季節の変わり目に押し入れに収納する際も洗濯、天日干し、掃除機を繰り返しましょう。

  11. シーツ、ふとんカバーは少なくとも1週間に1回は洗濯!
  12. シーツ、ふとんカバーにもダニが付着していますので、少なくとも1週間に1回は洗濯をして下さい。洗濯回数にあわせて、予備のシーツ、ふとんカバーを使用されたほうが良いでしょう。時には繊維の目をダニが通過できない高密度のふとんカバーも使いましょ

  13. ダニ駆除には梅雨明けの大掃除が効果的!
  14. 梅雨明け頃から、ダニの増殖がピークをむかえます。したがって、梅雨明けに大掃除をすることにより、その年のダニの増殖を抑え、家屋内全体のダニ数を減らすことができます。家屋内のダニ数全体を減らすとしいう意味で、梅雨明けの大掃除の実施をお勧めします。

エーザイ株式会社製作の患者さん配布用のパンフレット「アレルギーとダニ退治」より作成

アトピービジネスとは?

アトピービジネスとは何でしょう?金沢大医学部皮膚科教授竹原和先生が学会や、著書で警鐘を鳴らされておられます。竹原和先生の著書では「医療保険診療外の行為でアトピー治療に関与し、営利を追求する経済活動」と定義し、古くからの生活の知恵といったニュアンスを舎む「民間療法」とは呼ばない。悪質な業者は、かってはありふれた病気とされていたアトピー性皮膚炎を難病扱いして患者に治療薬のステロイド剤の副作用を過剰に強調、恐怖感を植え付ける。その後、科学的根拠の薄いさまざまなビジネスに引き込むという。専門医の立場からの批判は、業者だけでなく、皮膚科医と小児科医の対立や、「脱ステロイド療法」など医療側、マスメディアにも向けられ、混乱の背景を多角的に分析しておられます。

アトピービジネスの特徴としては

  1. あくまでもアレルギーブームを利用した営利目的での物品販売である。
  2. ことさら、ステロイドの副作用を強調して、自らのほとんど根拠の無い、また、科学的なデーターが無いような商品を売りつける。しかも、高額である。その根拠としては自然の物から作ったものであることで(例えば、漢方薬、蜂蜜の成分、天然水など)科学的な根拠やデータに基づいたものではない。自らが提示するものは「これでアトピーが治った」式の体験談的な報告ばかりできちんとして統計、科学的な根拠は皆無であること。
  3. ことさら珍しい病気でなく、ありふれた病気であり、専門医の治療を受ければほとんどの患者さんが、治癒もしくはコントロール可能な病気であるアトピー性皮膚炎をことさら難病であるように強調し、自らの商品を使用しないと、いかにも将来や、人生が駄目になる取り返しがつかなくなるなどといって、不安感をあおる事によってマインドコントロールを行う。
  4. 自らの商品によって悪化するようなことが有ったとしても、「今は以前使用していたステロイドの副作用が出ている、今体内の毒素が出ている段階で、継続すると良くなる」などといって、解約に応じない、もしくは別の商品を売りつけるなどの悪質な手口です。

最近、とみにこのようなアトピービジネスが悪質化、巧妙化しています。きちんとした、科学的な根拠をもち、患者さんの治療、QOL(quolity of life)を利害抜きに真剣に考えているのは私たち、専門医です。誤った知識に惑わされずに私たち専門医にお気軽にご相談下さい。

参考:「アトピービジネス」竹原和彦著 文芸春秋刊

日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療問題委員会のホームページ:アトピー性皮膚炎の治療が混乱しており,多くの患者さんが適切な治療を受けることなく悩まれている実状を踏まえて設置された委員会のホームページです。

介護保険に関して

居宅療養管理指導について

居宅療養管理指導とは,「居宅要介護者・要支援者(要介護者等)について,病院,診療所または薬局の医師,歯科医師,薬剤師,管理栄養士,歯科衛生士等により行われる療養上の管理および指導であって厚生省令で定めるもの」と定義され,医師については,通院困難な要介護者等に対して訪問して行う計画的かつ継続的な医学的管理に基づき,
(1)本人の同意を得たうえでの居宅介護支援事業者等に対する介護サービス計画(ケアプラン)の作成などに必要な情報提供
(2)介護サービスを利用する場合の留意事項,介護方法等について利用者や家族等に対する指導・助言
を行った場合,1月1回に限り算定するとなることが想定されている.これらの行為に対する評価として新しく設けられるもので,訪問診療や往診,疾患の治療に関する具体的な指導管理,投薬,注射,検査,処置等の個別の医療行為は,医療保険から給付される.
また,寝たきり老人在宅総合診療料(在総診)を算定している場合,在総診の療養上の管理指導における福祉・保健との連携をはかるという部分が居宅療養管理指導と一部重複するため,この部分が調整されることになる(図1参照).
薬剤師,管理栄養士,歯科衛生士の居宅療養管理指導とは,現行の寝たきり老人に対する訪問薬剤管理指導,訪問栄養食事指導,訪問歯科衛生指導に相当する内容となろう.

訪問看護について

訪問看護については,現在,医療保険では,医療ニーズが特に高い場合を除いて週3回を限度として行われているが,このような通常の頻度で行われる要介護者等に対する訪問看護については,原則,介護保険から給付される予定である.
一方,神経難病やがん末期,急性増悪時のような医療ニーズの高い場合には週3回の回数制限が撤廃され,毎日,訪問看護を行うことが認められているが,このような場合,要介護度に応じた支給限度額の範囲内では対応できないことから,医療保険からの給付が妥当と考えられている.また社会復帰支援等を行う精神科訪問看護についても,これまでどおり,医療保険から給付が行われる方向で検討されている

また,訪問看護において留意すべき点として,次のような事項がある.

  1. 訪問看護指示書の取り扱い
  2. 介護保険制度下においても,訪問看護には,これまでどおり,主治医の「訪問看護指示書」が必要となる.指示書料については,基本的には医療保険の取り扱いとなる方向で検討されている.

  3. 訪問看護ステーション
  4. 介護保険における訪問看護には,医療機関の行う訪問看護と訪問看護ステーションの行う訪問看護があるが,特に訪問看護ステーションについては,制度施行後,要介護者等に対して訪問看護を行う介護保険制度上の「指定居宅サービス事業者」と従来の健康保険法による「指定訪問看護事業者」,老人保健法による「指定老人訪問看護事業者」の3種類が存在することに留意する必要がある